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レノボのThinkCentre M75q Tiny Gen2(ThinkCentre M75q-2 Tiny)は、超コンパクトなデスクトップPCです。4 / 6 / 8コアのRyzen PRO 4000GEシリーズ搭載で、価格が非常に安い点が特徴。ハイパフォーマンスなのにリーズナブルな機種として、いま人気を集めています。 ThinkCentre M75q Tiny Gen2 ThinkCentre M75q Tiny Gen2のスペック
※2020年11月24日時点。構成は変更される場合があります この記事では筆者が購入した実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。 ThinkCentre M75q Tiny Gen2税込5万4208円~※2020年11月24日時点
限定モデルはコチラ 税込3~5万円台で買えるおすすめの格安デスクトップPCをまとめました。仕事や普段使い用に安いパソコンを探している人は、ぜひ参考にして…… 本体の外観サイズについてThinkCentre M75q Tiny Gen2の本体サイズは、非常にコンパクトです。デスクトップPCならではの存在感はみじんもなく、机の上に置いてもまったくジャマになりません。 ピザの箱を1/4に縮小したかのようなサイズ感 スタンドを使って縦向きに配置した状態 設置イメージ ※ディスプレイは23.8インチ 15.6インチのモバイルディスプレイと組み合わせた状態 ワイヤレス機器やType-C機器を使えば、使わない時はコンパクトにまとめられます 奥行きは18.29cmで、高さは17.9cm 反対側 ボックスティッシュとのサイズ比較 幅はわずか3.65cm 重さは公称値で1.25kg、実測で1.128kgでした 前モデルThinkCentre M75q-1 Tiny(左) とサイズ感は同じ程度 NECのLAVIE Direct Slimとほぼ同じ大きさとインターフェース構成 NECの公式サイトで、小型デスクトップPC「LAVIE Direct DT Slim」が格安販売中です。Core i5-10500T…… インターフェースについてインターフェースは一般的なデスクトップPCよりも少なめです。とは言え、普通に利用するぶんには問題ないでしょう。購入時のオプションでDisplayPort(最大2ポート)やHDMI、VGA(D-sub15ピン)、シリアルポートなどを追加できます。 前面にはマイク入力 / ヘッドホン出力、USB3.1、USB 3.1 Type-C、電源ボタン 背面には電源コネクター、DisplayPort、USB3.1、HDMI、USB3.1、USB2.0、有線LAN 映像出力は標準ではHDMIが4K30Hz、DisplayPortが4K60Hzに対応しています。しかしHDMIを4Kディスプレイに接続したところ、4K60Hzで動作しているように見えました。ディスプレイアダプターの対応モードを確認しても、「3840×2160 60Hz」と記載されています。もしかすると、4K60Hzで動作しているのかもしれません。 ただし解像度を2560×1440ドットに変更しても、ディスプレイのOSDに4Kと表示されていたので、現在のモードが表示されていない可能性があります。この点については別のディスプレイで追加検証を行なう予定です。 HDMIでも4K60Hzで動作している? アクセサリーについて購入時のオプションとして用意されている「バーティカルスタンド」は、縦置き設置用のスタンドです。縦置きにすると、設置面積が小さくてすみます。 オプションのバーティカルスタンド。横置きなら不要 同じくオプションとして用意されている「ツールレス(オープンシャーシ)」を選ぶと、本体のカバーを留めるネジが取っ手付きに変わります。ただしはじめは固く締められているので、初回のみドライバーが必要です。メンテナンスやパーツ交換の際にドライバーを使いたくないなら選ぶといいでしょう。 右がツールレス (オープンシャーシ)有効時のネジで、左が省略時の普通のネジ。固く締められているので、最初はドライバーを使う必要があります 標準ではUSB接続のキーボードが付属しますが、とてもチープな仕上がりです。アマゾンで自分好みのキーボードやマウスを選ぶことをおすすめします。ただし標準ではBluetoothに対応していない点に注意してください(USBレシーバー付きのワイヤレス製品がおすすめです)。 USBキーボードはペチペチしたタイプ感 USBマウスも安っぽく感じます 以前に税込500円(送料無料)で購入したエッセンシャルマウスとほぼ同じ ThinkCentre M75q Tiny Gen2に標準付属のUSB Type-C端子はデータ通信もしくは外部への給電のみで、電源アダプターとしては利用できません。しかし別売りの「USB Type-C – スリムチップアダプター」を使えば、Type-C機器から電源を取ることができます。 別売りのUSB Type-C – スリムチップアダプター USB Type-Cスリムチップアダプター+モバイルバッテリーで運用可能 USB PDの対応の充電器やモバイルバッテリーでも、ThinkCentre M75q Tiny Gen2本体を起動できました。ただしUSB PD 65Wなら大丈夫なのですが、USB PD 100Wでは一部のベンチマークテストを実行した際に動作が不安定になるのを確認しています。このあたりは後日検証するつもりです。 リンク Lenovo USB Type-C – スリムチップアダプター販売ページ 分解方法とパーツ交換についてThinkCentre M75q Tiny Gen2は比較的簡単にパーツの交換、増設が可能です。ただし改造の程度によっては、メーカー保証のサポート外となる可能性があるので注意してください。以前にサポートに問い合わせたところ「メモリー増設ぐらいまでなら問題ありません」と言われましたが、現在では基準が変更されている場合があります。 背面のネジを外すだけでカバーを取り外せます カバーを外した状態 2.5インチストレージ用のブラケット。ケーブルはマザーボード上のコネクターに接続します レノボの小型デスクトップPC「ThinkCentre M75q-2 Tiny(M75q Gen2 Tiny)」には、2.5インチのS…… APUは空冷ファンと取り外し式のダクトに覆われています。右上にはWi-Fi用のM.2スロット 空冷ファンのそばに小型のスピーカー。音質はイマイチですが、音が出るだけでもありがたい場面はあります 空冷ファンを外した状態 ヒートシンクを外すとAPUが現われます。取り外して別のAPUを使うのもアリ? マザーボード裏側にはメモリースロットとM.2スロット M.2スロットはType 2280/2242を利用可能。冷却シールの上に載せて、ピンで固定します メモリーはDDR4 3200 SO-DIMMで最大容量は64GB。購入時の容量によってはモジュール1枚のみのシングルチャネル構成なので、2枚挿しのデュアルチャネル構成をおすすめします 取り付け可能な2.5インチストレージについてThinkCentre M75q Tiny Gen2の2.5インチ用ブラケット(マウンタ)は、7mm厚および9.5mm厚のストレージを納められます。 ブラケットに9.5mm厚のHDD(東芝 MQ01ABD050V)を納めた状態 ブラケットを7mm厚のSSDを取り付けた状態 フラットに入りさえすれば、問題なく納まります ThinkCentre M75q Tiny Gen2のベンチマーク結果試用機のスペック
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります ストレージ性能ストレージは128GB~1TB SSD(機種によっては最小256GB)で、オプションでHDDを追加できます。テスト機で使われていた256GB SSDはSK HynixのHFS256GD9TNI(PCIe 3.0 x4)で、メーカーサイトには型番が登録されていなかったためOEMモデルかもしれません。公式スペックは不明ですが、アクセス速度はそれほど速くない可能性があります。 256GB SSDのアクセス速度。左がテスト機 1で右がテスト機2 CPU性能APUはデスクトップ版「Renoir」ことRyzen PRO 4000GEシリーズもしくはRyzen 4000GEです。「PRO」が付くAPUには、ビジネス向けのセキュリティー / 管理機能が組み込まれています。通常モデルはPRO 4000GEシリーズですが、Windows 10 ProモデルのみPROなしの4000GEシリーズを選択できます。 デスクトップ版のAPUとしてはTDP 65WのRyzen PRO 4000Gシリーズがすでに出回っています。それに対してThinkCentre M75q Tiny Gen2で使われているのは末尾に「E」が付く省電力版で、TDPは35Wです。消費電力が少ないぶん、パフォーマンスが若干劣ると予想されます。 APUのスペックの違い CPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、上位のRyzen 7 PRO 4750GEでCore i7-10700に迫る結果が出ました。デスクトップPCとしては非常に優秀です。また中位のRyzen 5 PRO 4650GEは前世代のCore i7-9700程度。TDP 65WのRyzen 5 PRO 4650Gとは7%程度低めです。 ※シングルコアの結果は後日公開します CPUの性能比較
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均 前モデルで使われていたRyzen 5 3400GEと比べると、パフォーマンスは大きく向上しています。旧Ryzen 5でも十分な性能ですが、より高いパフォーマンスを求めるなら買い換えを検討してみてはいかがでしょうか。 アダプターのワット数の違いによる性能差について前モデルでは65Wの電源アダプターが標準で付属していましたが、別売りの135Wアダプターを利用することでパフォーマンスが大きく向上しました。 そこでThinkCentre M75q Tiny Gen2でも135Wアダプターを使ってみましたが、CPU性能を計測するCINEBENCH R20では違いが見られませんでした。 65Wと135WでのCINEBENCH R20の結果 グラフィックス性能を計測する3DMarkでも、同様の結果が出ています。とりあえずRyzen 7では65Wと135Wでパフォーマンスに差は出ないと考えていいでしょう。 65Wと135Wでの3DMarkの結果 グラフィックス性能グラフィックス機能としては、APU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。内蔵グラフィックス(iGPU)としては非常に高性能で、Ryzen 7モデルでは3Dベンチマークテストで専用グラフィックス(dGPU)のGeForce GT 1030を上回る結果が出ました。軽めのゲームやクリエイター向けソフトで多少の効果を期待できそうです。 Ryzen 5モデルのスコアはガクッと落ちていますが、おそらくこれはメモリーが8GB×1のシングルチャネルで動作しているためだと思われます。デュアルチャネルに変更すればスコアは向上するはずです。この点については、後日追加で検証します。 GPUの性能比較
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均 PCとしての汎用性(Ryzen 7モデル)
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの PCMark 10は、PCを使った各種作業の快適さを計測するベンチマークテストです。Ryzen 7モデルではすべてのテストおいて、快適に使える目安のスコアを大きく上回りました。Ryzen 5モデルでも、おそらくすべてのスコアをクリアーできるでしょう。汎用性の高い機種です。 ゲーム系ベンチマーク結果(Ryzen 7モデル)各種ゲームの快適さを調べたところ、軽めのゲームであれば解像度1920×1080ドットで快適にプレーできそうです。3DベンチマークではGeForce GT 1030以上の結果が出ていますので、GT1030で問題なくプレーできるタイトルなら快適に楽しめるでしょう。ゲームについては、おいおい検証結果を追加する予定です。 NVIDIAのGeForce GT 1030は、2017年5月に発表されたデスクトップPC向けの専用グラフィックスチップ (dGPU…… ちなみに4K解像度でドラクエ10ベンチを試したところ低画質で「快適」、最高画質で「やや重い」という結果でした。4Kでのプレーは厳しそうです。 FF15ベンチ (重い / DX11)
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」 FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安 ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
※1920×1080ドットの結果 今後検証予定の内容今回はとりあえずの第一報ということで、大まかな検証内容をまとめました。今後以下の内容を追記する予定です。 ・Photoshop/Lightroomベンチの結果 ・ファンの動作音計測(現在のところ、それほど大きい音は出ていません) ・高負荷時におけるCPUの発熱 ・ゲーム系ベンチマークのタイトル追加 など お得な価格.comモデルについてThinkCentre M75q Tiny Gen2は通常モデルのほかに、値段の安い価格.com限定モデルが用意されています。特別な手続きは必要なく、公式サイトから普通に購入可能です。通常モデルとはスペックが異なる場合があるので注意してください。 通常モデルの値段
※2020年11月24日時点 価格com限定モデルの値段
※2020年11月24日時点 価格.com限定モデルはパーツをダウングレード、あるいは省略することで値段を大きく下げることができます。もっとも安い構成(最小構成)なら、最上位のRyzen 7モデルは税込5万6100円。高性能APUを搭載していることを考えれば、破格の値段です。 価格.com限定モデル最小構成時の値段
※2020年11月24日時点 必要に応じてWi-Fiや映像出力端子などを追加したり、自分で購入したパーツを増設/換装するとより快適に利用可能です。ただし現在(2020年11月時点)はWi-Fiを追加すると納期が大幅に延長される可能性があるので注意してください。Wi-Fiを追加しなくても納期が延びる可能性がありますが、標準構成あるいは最小構成だと早く届くようです。 リンク
価格com限定Ryzen7モデル 5万円台でハイエンドPCが手に入る時代へよかった点なんと言っても、パフォーマンスの高さと値段の安さが魅力です。特にRyzen 7 PRO 4750GEのパフォーマンスの高さは、5万円台で買えるレベルのしろものではありません。より快適に利用するならメモリーを増設するべきですが、それでもCore i7搭載PCよりも安くすむでしょう。Ryzen搭載ThinkCentre M75q Tiny Gen2の登場により、デスクトップPCは新たな時代へ突入したと言っても過言ではないと思います。 気になる点納期が長い点に注意してください。公式サイトでは「2~3週間程度で出荷予定」とされていますが、カスタマイズ内容によっては納期が延びる場合があります。現在のところ、11月中旬の注文で2021年3月到着予定のケースも見受けられました。実際にはそんなにかからないとは思いますが、心配な場合は少し様子を見るか、注文後あまりにも遅いようならキャンセルしたほうがいいかもしれません。 ThinkCentre M75q Tiny Gen2税込5万4208円~※2020年11月24日時点 限定モデルはコチラ * 当サイトでは2~3万円台の格安PCから高性能PCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのツイッターアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。 関連記事 3~5万円台の安いデスクトップパソコンおすすめ機種 ThinkCentre M75q Tinygen2の大きさは?M75q Tiny Gen2の大きな魅力のひとつである超小型デザインを解説します。 本体サイズは厚み3.65 cm、奥行き18.2 cm、高さ17.9 cmです。 ケース容量はわずか1.19リットル。
M75q Tinygen2の消費電力は?消費電力はアイドル時で7Wと非常に低いです。 負荷時でもLenovo Default設定時は最高で56W、高パフォーマンス設定時でも64Wと非常に低い数値となりました。 8コア16スレッド処理のプロセッサーを搭載しているとは思えないくらい低い数値です。
ThinkCentreのメモリ増設方法は?メモリ増設の手順を紹介 ThinkCentre M75q-1 Tinyを16GBに性能強化 – Lenovo デスクトップPC. 外すネジは1つだけ – ケースの内部へ. 背面のスライドカバーを外す – メモリスロットやNVMeスロットへアクセス. 空いているDIMM2スロットにメモリを取り付け. M75q本体の分解にドライバーを用意して、背面のネジをドライバーで外す必要があります。 ただし外すネジは最も目立つ1本だけで良く、あとはLenovoのロゴがあるパネルを正面側へスライドします。 サイドパネルを外せば、すぐに2.5インチドライブを増設できるマウンタが現れます。
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